Friday, March 9, 2007

09/03 新たな外国人研修・技能実習生制度の追加政策について

2007年3月9日 第19回 中央執行委員会で確認

はじめに

2004年10月の第14回中央執行委員会にて「連合の外国人労働者問題に関する当面の考え方」が確認された。そのなかで、「外国人研修・技能実習制度」については、安価な単純労働力の調達手段として活用されており、当制度本来の目的である「国際貢献」という趣旨を逸脱している事例が多いため、「制度自体の廃止を含めた抜本的改正」を提言している。この提言の基づき、これまで再三にわたり厚生労働省、法務省等に運用の改善など要請を行ってきたが、具体的な変化はなく、その後も受入れ機関・企業による暴力、賃金・手当の未払いや失踪等問題も多発している。
技能実習生による労基署への相談件数は、2003年の28件から、2005年には126件と急増している。また、財団法人国際研修協力機構(JITCO)の実施した2005年の巡回結果では、68社に不払い残業があり、不当に賃金を減らしていたケースも479社にのぼっている。2005年の労基署の立ち入り調査では、約8割の731社で長時間労働や低賃金など労基法・最賃法違反で摘発されていた。

そうした現状を踏まえ、厚生労働省と経済産業省は研究会を立ち上げ、改善策を検討したが、その研究会報告書では、産業・企業の受入れニーズを受け、制度存続のための最低限の対策を提案しているだけであり、送出し機関への対策を含めた根本的な解決は示されていない。
さらに、経済団体などから、受入れ拡大の提言がなされていることや、FTA/EPAなどにより相手国から要望があるとして、受入れを拡大しようとする動きがあるため、より具体的な政策を追加することとしたい。  
外国人研修・技能実習生制度に関する連合の政策(下線部分を追加)
制度廃止を含めた抜本改革が必要であり、制度を悪用する受入れ団体・企業の手法が年々巧妙化していくなか、運用に関する規定をこれまで以上に厳格化することを中心とし、以下の条件を満たす新たな国際貢献の制度を検討する。

1.制度運用の改善

(1)研修・実習の内容は、「国際貢献としての技術移転」という制度の目的を強化するために、技能検定の取得や語学力の向上に重点を置き、日本で習得した技術・技能の帰国後の活用状況をPDCAサイクルで検証し、その研修・技能実習分野に対する受入れ継続の可否について随時判断する。
(2)もっぱら研修・技能実習生の受入れのみを行っており、それ以外に具体的な活動が見られない事業協同組合に対しては、受入れを許可しない。
(3)技能実習期間の延長は認めない。また、同一技術分野での研修・実習のための再入国は、原則として許可しない。
(4)物理的・精神的暴力、人権侵害や入管法・労働諸法等に違反した事業所については、以後の研修・実習生の受け入れを禁止する。
(5)FTA/EPA交渉において、相手国の要望があったとしても、問題が山積している当該制度による受入れの拡大を行わない。

2.研修生保護の強化

(1)研修生の受入れ人数については、受入れ企業の常勤職員20名につき1名とする「5%ルール」を適用させる。
(2)技能実習に移行できない職種・作業については研修を認めない。
(3)研修生の労働者性について、解釈通達である「技能実習制度に係る労働基準法等の関係法令の適用(基発第592号:H5.10.6)」を大臣告示に格上げするとともに、労働者性の判断基準を明確化すること。
(4)研修生の生活費について、十分な配慮をおこなう。
(5)研修生の安全衛生教育については、事業場ごとに「研修生の理解できる言語」で実施する。

3.研修・技能実習生の研修・労働条件の拡充

(1)実習内容の決定は、企業に対して、研修期間のみでは取得できない上級技術の実習であることを証明する義務を課す。
(2)企業に対して、研修生・実習生の生活環境の整備を行う。
(3)技能実習生に対する「日本人と同等の賃金を支払う」要件について、実効性を確保する。
(4)強制預金や、監督機関の承認のない研修・実習生に対する課金等は、受入れ機関・送出し機関双方で禁止とし、違反した場合は以後の制度に関与することを禁止する。また、送出し機関と労働者間の劣悪な契約の締結などが事態を一層深刻化していることから、対策を強化する。
(5)住居費・光熱費や食費については、天引き額の上限を定める。また、研修・実習生の手取り賃金・手当等の労働条件を統一的に調査・管理を行い、違法運営に関するチェック体制を強化する。
(6)公共職業安定所内に外国人労働者専門官と通訳による「外国人研修・技能実習生雇用サポート室」を設置し、「出身国ごとの現地語による無料相談体制」や「トラブルに対応する体制」などを構築し、財団法人国際研修協力機構(JITCO)や地方入国管理局との連携を強化する。
(7)送り出し・受入れ機関に対する管理費について、適正な内容・水準について、検討を行う。



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