2011年12月 9日 掲載
その前段として、連合は12月2日に「人権フォーラム2011」を東京都・全電通会館で開催し、構成組織を中心に190名が参加しました。
なお、人権問題をテーマにしたフォーラムの開催は、連合結成以来初の取り組みとなります。
主催者挨拶
南雲 弘行 連合事務局長 | 「人権」は社会生活のまさに基本であり、連合は人権侵害の廃絶と救済制度の確立、就職差別を許さない社会づくりに取り組んできた。 本フォーラムに参加された皆さんには、各課題の現状について再認識いただくとともに、本日の内容を各組織へ持ち帰り、今後の積極的な取り組みにつなげていただくようお願いしたい。 |
講演1「被爆者援護に関して」
中川 重徳 弁護士 | 2008年4月、原爆症認定制度に新たな基準が設置されたが、いまだ被爆の実相に見合ったものとは言い難い。 放射線が発症を後押ししたことが明らかであるにもかかわらず、爆心地からの距離や行政の区分けを理由に認定されない例も存在しており、これまで全国から多くの方が声をあげてきた。 すべての被爆者が援護を受けられる体制づくりが必要であり、多くの方に現状を知っていただきたい。 |
講演2「北朝鮮による拉致問題に関して」
増元 照明 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長 | 人権問題に関する国際会議に出席すると、「日本は拉致問題にこだわりすぎではないか」という意見を聞くことがあるが、国民をさらわれてこだわらない国などありえない。 政府は北朝鮮に対し、核兵器の問題については経済制裁等の積極的な対応を行っている一方で、拉致問題については強気な対応に出ていない。国として「必死さ」を示せていないことが、北朝鮮側の不誠実な対応を招いている。 拉致被害者全員が日本に帰ってこられるよう、今後も全力で取り組んでいく。 |
荒木 和博 特定失踪者問題調査会 代表 | 現実的に考えて、拉致というのはそう簡単なものではない。にもかかわらず多数の被害者が出ている背景として、日本国内に潜伏している工作員の暗躍がある。 一方、警察は潜伏工作員に対して十分な対策を取ることができているとは言えず、逮捕状が出る頃には帰国していたケースや、逮捕後にそのまま釈放した例さえある。 政府も拉致被害者の帰国について北朝鮮側と議論する努力をしてきたことは認めるが、現状で大きな進展はない。より力強く実効性のある取り組みが必要である。 |
講演3「えん罪に関して」(狭山事件)
石川 一雄 氏 | 科学の進歩によって物証の矛盾が明らかになり、再審が行われればえん罪であったことが立証されてしまうため、検察はいまだすべての証拠を開示しようとしない。裁判官自身が実際に現場へ足を運んでくれれば、自ずと真実は明らかになることを確信している。 冤罪事件の渦中にあって、字を教えていただいたり、多くの方に支えてもらったことは大変嬉しく思っている。 |
安田 聡 氏 部落解放同盟中央本部 | 狭山事件は現在、石川さんの事件当時の筆跡と、強要された自白の内容が最大の焦点となっている。現場を訪れればすぐに虚偽が判明する矛盾だらけの自白に対し、科学的根拠をもって正面から向き合わなければならない。 犯人を取り逃がした失態を、警察は石川さんに無実の罪を着せることで汚名返上しようとした。先の村木厚子女史の事件にも見られた証拠の独占や、時に改ざんさえ辞さない体質が、えん罪事件のそもそもの原因となっている。 |
講演4「人権侵害救済法案の動き」
松野 信夫 参議院議員 | 現在、先進諸国のほとんどは人権機関を有しており、日本でも早期設置に向けて取り組みを進めてきた。その根拠となる人権侵害救済法案を、来年の通常国会に提出する。 法案の内容については誤解も根強く存在するが、報道関係者に危惧されるような偏向した運用にはなりえない。 本フォーラムで講師の皆さんが訴えてこられたように、人権侵害事件は後を絶たない。あらゆる人が安心して住める、「人権が守られる国」を目指して取り組んでいく。 |
まとめ
山根木 晴久 連合総合組織局 総合局長 | 本日のフォーラムで取り上げたテーマは、どれも日本が抱える深刻な問題であり、皆さんが暮らしている日本の社会にこうした問題が存在しているということをまず認識いただきたい。その上で、問題の真実は何なのか、問題が生じた背景にあるものは何なのかを正しく理解し、幅広く共有化していくことが重要だと考える。 今回は初めての試みであったが、このフォーラムを契機に構成組織、地方連合会、本部が認識を共有化させ、一体となった運動を展開することで、具体的な解決につなげていけるよう、 |
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