東南アジア諸国から技能実習生を受け入れている国際人材育成機構(アイム・ジャパン、東京都江東区)が、ベトナムからの受け入れ対象を拡大する。14日、都内の本部で、ベトナム労働・傷病軍人・社会事業省側とこの件に関する協定に調印した。これにより、日本企業によるベトナム人実習生の受け入れを促進したい考えだ。 調印は、ベトナムのグエン・ティ・キム・ガン労働・傷病軍人・社会事業相とアイム・ジャパンの柳澤共栄会長の立ち会いの下、グエン・ゴック・クイン労働・傷病軍人・社会事業省外国労働管理局長と同機構の北嶋靖弘業務執行理事により行われた。ガン労働・傷病軍人・社会事業相は近く退任し、共産党のより上級のポストに就く見通しのため、今回行われたのは改定合意書への仮調印で、今月21日に始まる第13期国会(2011~16年)の第1回国会で選出される新労働・傷病軍人・社会事業相と柳澤会長があらためて正式調印を行う手はずとなっている。 アイム・ジャパンは05年10月、技能実習生の受け入れについてベトナム側と協定を締結、06年1月に第1弾の実習生16人を受け入れた。日本企業の生産現場などで3年間にわたる実習を行い、これまでの受け入れ人数は延べ801人に上る。最近の年間受け入れ人数は200人近くに達しており、今年6月末時点で同機構の仲介により日本各地で実習を行うベトナム人は478人を数えている。
■「30歳までの男女」に拡大 今回の協定改定の内容は、「上限年齢の引き上げ」と「女性への対象拡大」の2点。これまでベトナムからの受け入れ条件は「25歳までの男性」だったが、ベトナム労働・傷病軍人・社会事業省からの申し入れを受け、「30歳までの男女」に変更する。年齢制限を引き上げるのは、ベトナム側の「帰国してから起業してほしいが、それにはある程度年齢が高い方が社会経験があってよい」との考えから。また、従来は対象を男性に限ってきたが、ベトナム側から「女性についても人材育成を図りたい」との要望があったという。 アイム・ジャパンは日本政府が創設した「技能実習制度」に基づき、ベトナム、タイ、インドネシア政府が派遣する人材を受け入れている。こうした技能実習生は各国政府によって厳正に選抜され、4カ月にわたって日本語を中心とした事前講習を受けた上で、日本に送り出される。さらに約1カ月間、アイム・ジャパントレーニングセンターなどで日本語などの講習を受けるため、日本語での簡単な意思疎通が可能だ。 アイム・ジャパンが技能実習生を紹介する職種は「機械・金属関係」「繊維関係」「建設関係」など。全国で受け入れ企業のための相談会を実施し、指導方法などを伝授するほか、何か問題が生じた際のため、ベトナム語、タイ語、インドネシア語が堪能な職員が24時間体制で対応する。 現地で4カ月の事前講習を受ける必要があるため、今回の条件緩和で新たに受け入れ対象となった技能実習生が日本に派遣されてくるのは、早くとも今年末ごろになる見通し。 担当者によると、受け入れ先には大企業もあるが、中心となるのは中小企業。ただ、08年のリーマン・ショック後の景気低迷に加え、今年3月の東日本大震災の発生で、そうした中小企業のマインドは冷え込み、海外からの技能実習生の受け入れにも消極的になっているという。このため、今回の条件緩和で日本企業によるベトナム人実習生の受け入れを促進したいものの、「実際に受け入れ数がどの程度増えるかは見通せない」としている。
■緊密な協力関係 調印後のあいさつで、柳澤会長は「21日からの国会で、ガン労働・傷病軍人・社会事業相が新たな役職に就かれることを寂しく思うが、昇進にお祝いを申し上げる」と発言。同相の就任直後、初めて会見した外国人が自分自身だったというエピソードを披露し、これまでの両者の緊密な協力関係を振り返った。 また、同相の在任中にアイム・ジャパンのプログラムによるベトナム人実習生の在留者数を1,000人に引き上げるという約束を達成できなかったとして、おわびの言葉を述べた。その上で、退任後も同相とは引き続き協力関係を保っていきたい意向を示した。 一方のガン労働・傷病軍人・社会事業相は、アイム・ジャパンの外国人技能実習プログラムについて、「ベトナム、日本双方の発展にとって重要なもの」と称賛。ベトナム人実習生らは日本で知識、経験、技術などを獲得し、帰国する際にはたくましく成長しているとした。 同プログラムを修了したという実績は、ベトナム国内で高く評価されるという。帰国後の具体的な活躍例としては、日本滞在中にためたお金を元手に起業したり、ベトナムに進出している日系企業や地場企業に雇用されたりする例があるようだ。
■原発技術者養成の構想は凍結 アイム・ジャパンをめぐっては、ベトナム中南部ニントゥアン省で建設が予定されている原子力発電所向けに、ベトナム人の技術者養成を検討しているとも報じられた。これについて、柳澤会長は「(福島第1原発事故を引き起こした)東日本大震災発生前の時点でそういう話は多少出ていたが、現在、日本の原子力政策がどうなるか不透明なこともあり、ペンディングの状態となっている」とコメント。その上で、「原子力も含めたあらゆる産業分野で活躍できるような人材を育成したいと考えている」と述べた。 ベトナムは14年に同省で国内初の原発を着工、20~21年に稼働させる計画だ。この第1原発ではロシアと提携し、それから半年~1年遅れのスケジュールとなる第2原発については日本をパートナーとする予定。 日越両政府は今年1月、日本からの原発輸出に必要な原子力協定を締結した。だが、福島第1原発事故などを受け、日本では国会での同協定の批准が滞っている。
■「30歳までの男女」に拡大 今回の協定改定の内容は、「上限年齢の引き上げ」と「女性への対象拡大」の2点。これまでベトナムからの受け入れ条件は「25歳までの男性」だったが、ベトナム労働・傷病軍人・社会事業省からの申し入れを受け、「30歳までの男女」に変更する。年齢制限を引き上げるのは、ベトナム側の「帰国してから起業してほしいが、それにはある程度年齢が高い方が社会経験があってよい」との考えから。また、従来は対象を男性に限ってきたが、ベトナム側から「女性についても人材育成を図りたい」との要望があったという。 アイム・ジャパンは日本政府が創設した「技能実習制度」に基づき、ベトナム、タイ、インドネシア政府が派遣する人材を受け入れている。こうした技能実習生は各国政府によって厳正に選抜され、4カ月にわたって日本語を中心とした事前講習を受けた上で、日本に送り出される。さらに約1カ月間、アイム・ジャパントレーニングセンターなどで日本語などの講習を受けるため、日本語での簡単な意思疎通が可能だ。 アイム・ジャパンが技能実習生を紹介する職種は「機械・金属関係」「繊維関係」「建設関係」など。全国で受け入れ企業のための相談会を実施し、指導方法などを伝授するほか、何か問題が生じた際のため、ベトナム語、タイ語、インドネシア語が堪能な職員が24時間体制で対応する。 現地で4カ月の事前講習を受ける必要があるため、今回の条件緩和で新たに受け入れ対象となった技能実習生が日本に派遣されてくるのは、早くとも今年末ごろになる見通し。 担当者によると、受け入れ先には大企業もあるが、中心となるのは中小企業。ただ、08年のリーマン・ショック後の景気低迷に加え、今年3月の東日本大震災の発生で、そうした中小企業のマインドは冷え込み、海外からの技能実習生の受け入れにも消極的になっているという。このため、今回の条件緩和で日本企業によるベトナム人実習生の受け入れを促進したいものの、「実際に受け入れ数がどの程度増えるかは見通せない」としている。
■緊密な協力関係 調印後のあいさつで、柳澤会長は「21日からの国会で、ガン労働・傷病軍人・社会事業相が新たな役職に就かれることを寂しく思うが、昇進にお祝いを申し上げる」と発言。同相の就任直後、初めて会見した外国人が自分自身だったというエピソードを披露し、これまでの両者の緊密な協力関係を振り返った。 また、同相の在任中にアイム・ジャパンのプログラムによるベトナム人実習生の在留者数を1,000人に引き上げるという約束を達成できなかったとして、おわびの言葉を述べた。その上で、退任後も同相とは引き続き協力関係を保っていきたい意向を示した。 一方のガン労働・傷病軍人・社会事業相は、アイム・ジャパンの外国人技能実習プログラムについて、「ベトナム、日本双方の発展にとって重要なもの」と称賛。ベトナム人実習生らは日本で知識、経験、技術などを獲得し、帰国する際にはたくましく成長しているとした。 同プログラムを修了したという実績は、ベトナム国内で高く評価されるという。帰国後の具体的な活躍例としては、日本滞在中にためたお金を元手に起業したり、ベトナムに進出している日系企業や地場企業に雇用されたりする例があるようだ。
■原発技術者養成の構想は凍結 アイム・ジャパンをめぐっては、ベトナム中南部ニントゥアン省で建設が予定されている原子力発電所向けに、ベトナム人の技術者養成を検討しているとも報じられた。これについて、柳澤会長は「(福島第1原発事故を引き起こした)東日本大震災発生前の時点でそういう話は多少出ていたが、現在、日本の原子力政策がどうなるか不透明なこともあり、ペンディングの状態となっている」とコメント。その上で、「原子力も含めたあらゆる産業分野で活躍できるような人材を育成したいと考えている」と述べた。 ベトナムは14年に同省で国内初の原発を着工、20~21年に稼働させる計画だ。この第1原発ではロシアと提携し、それから半年~1年遅れのスケジュールとなる第2原発については日本をパートナーとする予定。 日越両政府は今年1月、日本からの原発輸出に必要な原子力協定を締結した。だが、福島第1原発事故などを受け、日本では国会での同協定の批准が滞っている。
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