Thursday, September 29, 2011

JITCO: 技能実習生の失踪防止対策について

2011年4月
総務部企画調整課

JITCOで把握した技能実習生の失踪者数は、2010年度(2010年4月~2010年3月)は975人と前年度に比べ減少しました。失踪者数を国籍別にみると、中国572人、ベトナム241人、インドネシア43人、フィリピン39人、タイ28人となっています。前年度と比べると、ベトナムは58人、インドネシアは1人増加していますが、中国は40人、フィリピンは19人、タイは4人の減少となっています。
(注)数値は2011年4月1日現在JITCO届出数




 各監理団体・実習実施機関の皆様におかれましては、これまでも失踪防止に向けた各種の取り組みを実施されてきたことと存じますが、今後とも以下の1に掲げる留意点を参考のうえ、引き続き研修生・技能実習生の失踪の未然防止に強力に取り組んでいただきますようお願いいたします。
 また、失踪が発生しますと以下の2のような取扱いとなる可能性がありますので、ご留意下さい。

失踪防止に係る留意点

(1)送出し機関の選定と信頼関係の構築
 外国人技能実習制度に対する理解が不十分な送出し機関を選定すると、日本側の受入れ態勢が整っていたとしても、結果的に大量の失踪者の発生に繋がる可能性があるため、安易に送出し機関を選定せず、送出し機関の質を十分見極めること。また、技能実習生の選抜、本邦外における講習・外部講習、技能実習中の巡回、帰国までのフォロー等は、日本側の受入れ機関だけの努力では限界があるため、送出し機関との連絡を密にして信頼関係を構築すること。

(2)技能実習生の選抜
 技能実習生選抜の際には、技能実習生本人が所属する派遣元の企業を訪問し、本人の就業状況等を確認すること。その際は、送出し機関はもとより、日本側の監理団体、実習実施機関の責任者、担当者が、現地に赴き、企業訪問や選抜試験、面接に積極的に関与し、熱意のある、心身共に健康な技能実習生を選抜すること。また、本制度が帰国してから日本で学んだことを活かして活躍するためのものだということを、本人だけではなく家族にも十分理解させること。

(3)ミスマッチをなくす
ア.職種のミスマッチ
 希望を持って来日した技能実習生を失望させ、結果として失踪に繋がることのないよう技能実習生の人選をする際には、職種のミスマッチが起こらないよう、細心の注意を払うこと。

イ.処遇・技能実習環境のミスマッチ
 講習手当・賃金の額、技能実習時間等、「処遇」や「技能実習の環境」を巡るトラブルが発生しないよう、面接時、選抜後の送出し機関及び監理団体による本邦外における講習・外部講習、さらには入国直後の講習において、「講習中の待遇概要書」の交付を通じ、処遇等の確認を必ず行うこと。
 また、雇用契約の締結の際は、雇用契約書を交付して処遇を明示し、社会保険料等の法定控除項目はもとより、労使協定に基づく寮費・水道光熱費等の法定外控除項目や時間外労働に対する割増し賃金等について説明し、技能実習生に十分理解させること。

ウ.日常のトラブル
 日本の生活様式はもとより、文化、風習の違いがもとになるトラブルの発生を防止するため、監理団体・実習実施機関は、来日前の本邦外における講習・外部講習や入国後の講習で、技能実習生に対し、食文化の違い、社会ルールの違い、日本における安全・衛生のあり方等、基本的な日本の生活様式を具体的に学ばせること。また、技能実習生たちの母国での生活スタイルに配慮できるところがあれば積極的に取り入れ、日本での日常生活で、あまり違和感を覚えさせないよう工夫すること。生活指導員は、技能実習生たちが早く日本での生活に慣れるよう指導するとともに、地域の催しへの積極的な参加促進、近隣住民との交流への支援等、技能実習生の立場に立って、助言・指導を行うこと。

(4)多くの人々の世話になっていることを理解させる
 日本に入国し滞在していく上で、技能実習生は、母国の家族等はもとより、日本の監理団体・実習実施機関の代表者や指導員等、多くの人々の世話になっていることを本人に理解させること。

(5)日本滞在中の技能実習生のケア
 監理団体・実習実施機関は、技能実習生との積極的なコミュニケーションを心掛け、親身になって世話や指導を行うとともに、複雑な問題については送出し機関に応援を要請し、監理団体・実習実施機関と送出し機関が相互に補完し合って技能実習生を指導・サポートすることで、彼らが安心して技術・技能修得に打ち込める環境を整えること。
 また、失踪者の発生を憂慮するあまり、技能実習生を部屋に閉じこめる、四六時中見張って行動の自由を制限する、本人携帯が義務であるパスポートや外国人登録証明書を監理団体・実習実施機関で一括して保管するなど、人権を侵害するような行為は絶対に行わないこと。

(6)帰国後のフォローアップ等について
 監理団体・実習実施機関は、送出し機関に対し、帰国した技能実習生が派遣元企業に復職できるよう働きかけるとともに、何らかの事情で復職することが不可能な場合には、本人が日本で修得した技術・技能を発揮できる職場に就職できるよう、送出し機関に対し、最大限の努力を払うよう協力を依頼すること。

失踪事故が発生した場合の取扱等

(1)技能実習生は、失踪し、他の場所で就労すると、出入国管理及び難民認定法に基づく「技能実習」の在留資格の活動に該当しないので、不法就労となり、発見されれば本国へ強制送還され、少なくとも5年間は我が国への入国が拒否されることになります。

(2)監理団体・実習実施機関は、法務省入国管理局「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」に基づく失踪に関する不正行為等に認定されると、技能実習事業の継続が困難となり、また、3年間技能実習生の新規受入れができなくなります。

(3)失踪者のほとんどは不法就労を行い、また、一部は犯罪に走る場合もあるので、これが社会問題化して、日本社会からの支持が得られなくなり、適正な技能実習制度の目的を達成することが困難となります。

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